『魂うた』というワークショップのこと⑦〜歌えなかったけど『魂うた』になった。

二度目の『魂うた』は初回の二ヶ月後、6月の女神山だった。

「リズムとベースとメロディと 三位一体の魔法」と銘打ったこの回は、
綜海さんのビジネスパートナーであるピアニストとドラマーの方が加わり、
より音楽に深く入り込むような『魂うた』になった。

このときの僕は、原因の分からない咳が出続けていた。
前のときのように気持ちよく歌おうと思っていたのに全然声が出ない。

過去のストレスや心理的なつかえが、
身体に出る事をこのときに知った。
「プロセス」というらしい。
初回の『魂うた』でも見ていたけれど、
それが自分にも起こるとは思わなかった。

僕は『地上の星』を歌った。

つばめよ 高い空から
教えてよ 地上の星を

スケールの大きな歌だったので、しっかり唄いたかった。
でも声が出ない。

ほとんど叫ぶようにして声を絞り出したら、
途中で咳が激しくなって止まらなくなった。

綜海さんは身体に手を添えて、
そばに寄り添っていてくれた。

ほとんど嘔吐に近いような咳が出る。

このときの日記には「なんかゴボッと出た」と書いてある。
それから「やっぱり伸び伸びと歌いたい。せめて一曲だけでも」とも。

結局、二泊三日の間、思うようには歌えなかった。
けれど、それでも満足して帰ることになった。

「カンペキではなかったけれど、
この場にふさわしい歌を唄えて気持ちがよかった」

と書き残している。

『魂うた』は唄う技術は不問です。
と僕も案内文に書くけれど、
その背景には声がガラガラで、まったく唄えていないのに
ちゃんと『魂うた』になったこのときの経験がある。

ぜんぜん納得いくように唄えていないのに。
調子さえよければ、もっと唄えるのに。

それでも満足して帰ったのは、
ふつうの歌とは別の価値が『魂うた』にあるからだ。

たしか、この「三位一体の魔法」の
二日目の夜だったと思う。

みんなで地べたに寝転がって
他愛ない話をして笑っていたときに
「こんなのを仕事にできたら最高だろうな」
とふと思った。

そのときは本気でそんなことができると思っていなかったけれど、
二年経ったいま『魂うた』を仕事にすることが叶っている。

そういうことって人生にはあるのだ。
幸せなことだよなあと思う。

(つづく)

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